Exhibition

free park 33, 2026 (detail) © Mayu Anzai
安齋茉由 typhoon
Gallery Aでは、9月26日(土)から10月12日(月)まで、安齋茉由の個展「typhoon」(タイフーン)を開催いたします。 当ギャラリーで3回目となる本展では、大小の油彩作品やドローイングなど20点以上を、2フロアにわたるギャラリー空間に展示いたします。
故郷・福島の田園を原風景に持つ安齋茉由は、草原や空を想起させる色面に、人物の身体や動きをとらえた繊細な線を重ねながら、絵画シリーズ「free park」を中心に制作してきました。 作品の根底に流れる「自由」への関心は、本展「typhoon」で自身と他者との間に生まれる距離や身体感覚へと広がっています。
2022年の個展「free park」では、コロナ禍をきっかけに社会や日常のなかで自身を縛るものから解放される「自由」を、2024年の「green sea」では、生と死を見つめながら、身体の輪郭がほどけ、自然へと還っていく生命のあり方を「魂の自由」と重ねて探りました。
「free park」の絵画には、「地平線」が繰り返し現れます。 田園風景に由来するその線は、画面を分割しながら広がりや奥行きをもたらすと同時に、人物と世界との距離を想起させます。
2025年、安齋の生活環境は、山や田畑に囲まれた暮らしから、多くの人と関わる日常へと大きく変化しました。 遠くに眺めていた地平線は、次第に他者との境界の感覚と重なり、その境界を往来しながら、自身の輪郭を確かめるものへと変容しつつあります。
安齋は、現実を生きる人物を観察し、スケッチするなかで、対象の動きに自身の身体がふと重なり、その瞬間に「自由」を感じるといいます。 展覧会タイトルの「typhoon」は、幼い頃に経験した、3人1組で一本の棒を持ち、ポールを回って速さを競う運動会の競技に由来します。 異なる身体が一本の棒を介してともに動くその記憶は、現在、他者を見つめながら描く安齋の身体感覚とも響き合っています。
こうした境界に対する感覚の変化は、新作の絵画そのもののあり方にも現れています。 本展のメインビジュアルとなる大型作品《free park 33》では、木枠の大きさを越えて画布が広がり、その上をどこか困惑したような表情の人物が伸びやかに浮遊しています。 前回展「green sea」で発表した、画布を木枠に固定しない作品《free park 29》から発展したもので、同様の表現は本展のほかの新作にも見られます。
私たちは、誰かとともに進むとき、自分の速度だけで進むことはできません。 他者に引かれ、押し広げられながら、自分ひとりでは辿り着けない場所へと進んでいく。 その関係のなかで生まれる「自由」は、安齋の絵画に新たな展開をもたらしています。 ぜひご高覧賜りますれば幸いです。
安齋茉由
typhoon
「タイフーン」
3人1組で棒を持ち、ポールや三角コーンを一周して
戻ってくる速さを競う運動会の競技
当時、私はクラスで1番足の速い男子と女子で組まされ、
強風にすっとばされる洗濯物のように引っ張られてゴールした。
2024年は 山と田んぼの中にいて、 2025年から現在までは
神奈川の人の森の中で生活をしている。
長い時間 人の中にいると自分の地平線(境界線)を
常に手で触って確かめている感覚になる。
平日、朝 8:10には家を出て、
仕事用パソコンと窓口対応で行ったり来たりして、
夕方過ぎに帰る。
自分の内側と外側の地平線を反復横跳びする中で、
自分以外の誰かをドローイングしに行く。
はしゃぐ子ども、その子に付き添う親、筋骨隆々のモデル、
ピクニック中の海外旅行客…
ドローイングをすると、そういった人たちと自分の身体が
モーションキャプチャーのようにリンクするような感覚がある。
自分とその人の身体を行き来する瞬間はとても自由で、
あの時のタイフーンの感覚に似ていた。
タイフーンでの感覚、
知っているはずの自分の身体の地平線が押し広げられる感覚。
その一瞬を捉えようとする。
捉えられたかもしれない時、 少し自由がある。

free park 33, 2026 (detail)
展覧会概要
安齋茉由 typhoon
会期:2026 年 9月26日(土)~10月12日(月・祝)
開廊時間:12:00~18 :00
休廊日: 月・火・水曜日
※10月12日(月・祝)は開廊
《 抽選販売のご案内 》
本展では、ギャラリー内での混雑緩和および公平性の観点により、
販売する作品につきましては、全て抽選申込制とさせていただきます。
ゆっくりとご鑑賞の時間をお過ごしいただけましたら心より幸いです。
何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
