top of page

Exhibition

Kaoru Yokoo "migraine aura"

Kaoru Yokoo, still from video “ migraine diary ” 2022

© Kaoru Yokoo

Past exhibition

 

横尾香央留

migraine aura

 

3 / 26 - 4 / 17, 2022

Gallery Aでは、3月26日(土)から4月17日(日)まで、横尾香央留の5年ぶりとなる個展を開催致します。 「migraine aura(マイグレイン・オーラ)」と題された本展は、作家自身を長年悩ます偏頭痛に伴った個人的なものごとをモチーフに、針や糸を用いて表現されたビジュアル作品とその制作過程の記録映像を発表致します。 

 

横尾香央留は、編む・縫うなどの親しみやすい手法を通して、ものごとに備わる関係性に対する視点の変化を表現しているのが特徴です。 ウィットに富んだインスピレーションと糸(あるいは線的な要素)などの素材で紡ぐ造形は、可愛らしくコミカルな魅力に溢れながら手芸の枠を超えた新鮮なイメージとなって、常に観るものの心のあり方を柔らかく揺さぶり、今を見つめ直すきっかけを与えてくれます。

 

本展のタイトル「migraine aura」とは、ふとした時に突然、視野の中にギザギザ・キラキラとした光の波ができる「閃輝暗点」という現象のことをいいます。 長くても20分程度で消えていき、症状が治まった後に偏頭痛が起こると言われています。 横尾香央留は偏頭痛と20年近くつきあう生活の中で、薬を服用する以外に、 水泳や散歩をする、偏頭痛が緩和するグッズを揃える、塩を舐める、サプリメントを摂る、好きな食べ物を加減するなど、さまざまな予防や対策をしてきました。 新作では、この偏頭痛をとりまく最悪の痛みや体験、治癒にまつわる物質性を90年代の最先端デバイスであったポケベルコードの数字記号で変換し、コンセプチュアルな視覚表現を試行しました。 均一のグリッドに秩序立って交錯する柔軟で緻密な線の配置は、抽象的で純粋なドローイングとなって表れ、不思議と閃輝暗点のフォルムも彷彿とさせます。 その制作の様子を記録した映像 「migraine diary」では、作家の視線や手作業の反復する動き、繊細なハンドステッチのリズミカルな軌跡なども追体験していただけます。

 

自己の痛みを一風変わった視点で甘受したユニークな作品からは、負の感情とは全く別の、思わず微笑みがでてしまう新しい世界を感じていただけるでしょう。 脳裏に沁み入るような美しさは、私たちの予測不可能な日々のそばにも実は満ちているのかもしれません。

ぜひこの機会にご高覧賜りますれば幸甚に存じます。

横尾香央留 migraine aura

ベッドの中で出来る限り身体を小さく丸め

左後頭部から左目にかけ矢が刺さったような

脈打つ痛みにじっと耐えながら

薬が効き始めるまでの間 “神様ごめんなさい”と

ひたすら何かを詫び続け 早期回復を乞う。

 

かれこれ20年近くの付き合いになるというのに

いっこうに慣れることのない偏頭痛発作。

どんなに心待ちにしていた予定があろうと

必ず守らなければならない約束があろうと

構いなしにやってくる。

 

いつ何回服用したかを記した

数年分の頭痛日記を

1枚のカレンダーにまとめて刺してみる。

あらためてその総量にゾッとし

伏せるように返した裏面に

migraine aura(閃輝暗点)が現れた。

展覧会概要

_____

横尾香央留  migraine aura

会期:2022 年  4 月 17 日(日)まで

開廊時間:12:00 ~ 18:00

休廊日: 月・火曜日

​終了いたしました

Kaoru Yokoo

© Kaoru Yokoo

photo Takashi Homma

bottom of page