原 游 / YU Hara

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原游の作品は、ものごとの原理に分析的な視点を重ねたテーマをユニークな感覚で表現しているのが特徴です。 ペインティングやミクストメディアによるインスタレーションなど、多彩な手法を用い、親和性を感じるモチーフを通して描かれる大胆な筆致と緻密で創造的なレイヤード、卓越したバランス感覚で彩られた作品はそこに否定的な息苦しさはなく、鑑賞者を不思議な夢中世界へと一気に誘い込む明るい魅力に溢れています。 原游のトレードマーク的なペインティング「飛ぶ教室」シリーズは、日常を取り巻くモチーフで構築されています。キャンバス上に置換されたカラフルなエレメントの集合体は、流れ回転し、動きが可視化されながら三次元の景色へと変貌します。作品が包含する「部分と全体」のトポロジーは遠近感覚と重力からの解放により、大空を仰ぐような心地よい錯覚に及びます。もうひとつの代表作である「顔」シリーズは、キャンバスを顔に見立て綿布を木枠に大きく貼り、それを糸の状態までほどき髪の毛に変換することで絵画の秩序を微笑ましくユーモラスに操った、素材の手触り感があふれる作品です。これらの思考実験的なシリーズの展開は自分の視点を上げて俯瞰し、ものごとの文脈的な関係を広く見渡すという平面性における体系的探究の強度を着実に高めました。原游の大局を見失わない視点、素朴でシャープなユーモア、エネルギーにあふれた表現力は今日の閉塞感から私たちを自由に解放し明日への思考力へ繋げる大らかな主体性となることでしょう。